
ある事項の解決を図るため君と錦糸町にある大きな100円ショップに行きました
ざっと店内を一回り
しかしよいアイデアが浮かばない
どうしよう、途方に暮れる
そのとき君はいつもの表情とともにいつもな台詞をくりだす
「おなかすいた、まずなにかたべよう、たべながらかんがえよう」
正直なところちょっと呆れる
任務がある、しかもまだその道筋が確かになっていない、そういう状況で休憩してしまうということは僕の中の規範には含まれていない
しかし実際僕も腹が減っていたしこのまま店内をぶらぶらしても埒があかないだろうということは感じていた
100円ショップがある上のフロアはレストラン街になっていた
君「何食べようか?何食べたいですか?」
僕「君の食べたいものでよいです」
僕はこういう時、いつもこういう返事をしてしまう
好き嫌いは全くといっていいほどないのだけれども逆に大好物といったものもない
いや大好物はある、油揚げとさつまいも
しかしこういう場面での答えとしてはナンセンスだ
君はラーメンが食べたかったがこのレストラン街にはラーメン店はなかった
結局ベトナム料理屋にはいることにしたフォーを食べようということで
店先にアオザイが下げてあった
君が着たらすごく似合いそう
店内はガラガラ、夕食時の少々前という中途半端な時間
メニューを2人で覗く
ドリンクメニューの生ビールに視線が捕られる
が僕はすぐに食事のメニューに視線を移す、やいなや
君「ビール飲むよね?」
僕は引きずられるようにうなずく
僕の規範は決壊寸前
食事を選びにかかる
君は夏季限定の冷製フォーが気に入ったようだ
一方で1600円のヘルシーディナーセットも捨て難いようだ
生春巻+サラダ+お好きなフォーひとつ+デザート+コーヒーor紅茶
と確かにお得だしフォーだけじゃものたりないというのもわからなくはない
だけどどうだ、ビール飲んでディナーセット食べて、その後まだ未解決の仕事があるのだ
規範云々のレベルじゃなく、これほどの食事を経たあとすぐに仕事に取りかかるような能力を僕は持ち合わせていない
恐るべし君
君「だけどこれ全部食べちゃうとちょっと重いよね」
おおっ、僕はホッとする
だがまだオーダーが決まらない
店も選ばせてビールも飲もうといわせたんだから(僕も実際飲みたかったのにだ)ここではとにかく君の同意は得られなかったとしてもオーダーについてなにがしかの提案をしないことにはフェアじゃない気がする僕
思索に入る
まず条件の整理
君:冷製フォーが食べたい
君:ディナーセットが食べたい
君:ディナーセットを全部食べるのはちょっと重い
店:ディナーセットの中で選べるフォーに冷製フォーは含まない
僕:君と久しぶりに食事ができて嬉しい
整理完了、うん、この問題は易しい類だ
僕の解答は次の通り
「じゃあ君は単品で冷製フォーを頼みなよ、僕はディナーセットを頼む、で一緒につまもう、フォーは辛いやつがいいな豚挽肉のピリ辛フォーにする、であと生2つね」
君の同意も得られオーダーする
まもなく生ビールがやってくる
日中に飲むビールは夜のそれとは違う気がする、ようするになんともうまい!
生理現象によるものなのか、あるいはもっと上位の意識の問題なのか、この考察については機会をあらためよう
つづいて生春巻がやってくる
皿に2切れ盛られてきた
3じゃなくて2切れだった
このことにかすかにホッとする
テーブルの上に2つの生ビールのグラスと2切れの生春巻
この絵に美しさを感じている僕
もし生春巻が2切れじゃなくて3切れだったらこの感覚は出てこなかっただろう
3切れだと最後のひとつをどちらが食べるのか?という問題が否応なしに生じる
この問題は生じたとしても君と僕にとっては本当に些細な問題だ
だけどそれでも問題は問題であってそのときなにがしらの決断に迫られる
君「春巻食べてちゃってください」
きっと僕は君に決めさせていたと思う
生春巻が運ばれてきたとき
それが乗っていた皿の大きさと一切れ一切れのそれの大きさに若干のアンバランスさを感じた
この皿の大きさには3切れがふさわしいと思った
ひょっとしたら店員から厨房へ2人連れだからと切り方の指示が飛んでいるのかも?とも思ったが僕の考えすぎだと思う
自分に苦笑
食事も佳境に差し掛かったとき君から一言
「ナイスな選択だったね」
褒められちったよ、ありがとう
でもほんとうに簡単な問題だったんだよ
未知数と条件式が同数ある方程式を解くのと一緒、必ず解ける問題でした
だからそういわれたのはちょっと意外でもありました
今回僕たちが持っていた本来の問題はこれより難しい問題でした
未知数はずっと多くてそれに比べて確かな前提条件が少ない
まあ、日常のほとんどの問題はこうであって
だから最終的に、こっちが好きだとか嫌いだとか、腹をくくろうとか、意志とか、主義とか、そういうのが強い意味を持ってくる
食事はおいしかった、ビールももちろんうまかった、久々君とも話せた、よい時間でした
しかし本来の課題にまだ結論が出ていない
時間がもうあまりない
君からも答えは出てこなそう、期待されてるような気がする
追い詰められた気分になってくる
だんだんその問題が自分のこととして考えられるような感覚に入っていく
頭の中でいろいろな事柄がぐるんぐるんめぐる
出口が見えてくるような気がする
実際見えてくる
「じゃあ、とりあえずベストとは言い難いけどxxxでやってみよう、だから下でいろんな色のテープ買って帰ろう、今回はとりあえずこれでやってみない?」
そしてガムテープを6色買って帰った